02
どれだけ丁寧に掬い上げても まるで、水銀のように あとも残らずに 隙間からこぼれてゆく物が在る。 それはまるで、夢のように。
燃えるような紅。 深い紅。 それでも、その中で この深い紅の世界に佇む 二人が残せるのなら。 私はそれを喜ぼう。 この散逸した魂が、螺旋を描きながら大地へと向かう。 今は、二人を彩るために。 04